名言・箴言
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『鬼平犯科帳 二 谷中いろは茶屋』
「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。
善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。
悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」 -
『男のリズム 家』
ちかごろの日本は、何事にも、
「白」
でなければ、
「黒」である。
その中間の色合が、まったく消えてしまった。
その色合こそ、
「融通」
というものである。
戦後、輸入された自由主義、民主主義は、かつての日本の融通の利いた世の中を、
たちまちにもみつぶしてしまった。皮肉なことではある。 -
『黒幕』
人生の苦難に直面した男が求めるものは、酒と女にきまっている。
この二つは、それほど男にとって貴重なものなのだ。 -
『真田太平記 五』
すべてがわかったようなつもりでいても、双方のおもいちがいは間々あることで、
大形にいうならば、人の世の大半は、
人びとの〔勘ちがい〕によって成り立っているといってもよいほどなのだ。 -
鬼平犯科帳 十 むかしなじみ
「人のこころの奥底には、おのれでさえわからぬ魔物が棲んでいるものだ」